ストーンズ初の全曲オリジナル『AFTERMATH』です。このアルバムにも少しですが各国盤のDiffカヴァーがあります。CD時代になってからUKヴァージョン、USAヴァージョンがありますが、日本ではアナログ時代ずっとUKヴァージョンだったので古くからのファンの方にはUKヴァージョンの方が馴染み深いですね!まずはUK盤です。イギリスでは1966年4月15日に4枚目のアルバムとして発売されました。規格番号はモノラルLK 4786、ステレオSKL 4786です。
UKのモノラル盤にはシャドー・カヴァーと呼ばれるタイトルに影があるジャケットが存在します。初版という説がありますが、何枚かのマトリクスで確認すると普通の文字のジャケットの方には-1B/-1Aがありましたが、シャドー・カヴァーの方は-1B/-5Aだったり-6B/-4Aだったりするのでそれは違うと思います。シャドー・カヴァーには影の色違い2種存在するらしいですが未確認です。
US盤です。アメリカ独自のジャケットで1966年7月2日、イギリスより3ヶ月遅れで発売されました。「Mother's Little Helper」が外され、当時の新曲「Paint It Black」が1曲目に収録されています。また、「Out Of Time」「Take It Or Leave It」「What To Do」が収録されていません。また曲順もUK盤とは違います。規格番号はLL 3476(モノラル)、PS 476(ステレオ)です。
『AFTERMATH』のDiffカヴァーで面白いのは意外と日本かもしれません。日本では66年7月にUKヴァージョンで発売されました。日本独自の上からメンバーを撮った写真が使われています。正式なタイトルは『ステレオ/ザ・ローリング・ストーンズ/アフターマス(余波)第5集』です。帯の値段が1800円が初版で途中で物品税が下がったため1750円がセカンドです。日本盤帯付きはまたの機会に詳しく触れます。
ジャケットは見開きで裏側は『BIG HITS』のリア・カヴァーと同じです。下部にタイトルと曲目が書かれています。『AFTERMATH』の見開きは意外と日本だけだったりもします。
オリジナルはゴールドの帯でしたが帯にあった懸賞付きのセールが終わったのか紺色の帯に変っています。
69年春にはファーストから『GOLDEN ALBUM』までの6枚のアルバムがサイケ調のカヴァーに変って再発されています。
また、珍品として取り上げますが72年に再発された日本盤はジャケットはUSA、曲目はUKです。日本でやっとジャケットがUKヴァージョンとなったのは発売から10年後の76年に全タイトルまとめて発売されたGP規格からでした。こう考えると66年から76年まではこのアルバムのジャケットがそれぞれ違うので買った人の時期によって印象が大分違うでしょうね。私はこの72年再発のジャケットはUSA、中身はUKのものを初めて買ったのでこれがホントの『AFTERMATH』だと思っていました(笑)が、当時はそれほど情報がなかったんですよね~。
次はイスラエル盤です。こちらはTVショーのステージ写真が使われています。リア・カヴァーはUKと同じデザインです。レーベルはPAX、規格番号はISK-1016で曲目はUK盤と同じです。のちに同じ規格番号でUK盤と同じジャケットで発売されています。イスラエルは他のタイトルも独自のデザインで発売されていて面白いです。
次はアルゼンチン盤です。US盤と同じ写真ですが、タイトルが現地語表記で『CONSECUENCIAS』となっています。グループ名もLos Rolling Stonesです。左下に「Paint It Black」が収録されていることが現地語で書かれています。レーベルはLONDON、規格番号はLLM-17274でモノラルのみ発売されました。
リア・カヴァーはアルゼンチン独自のものです。曲名と解説も現地語でクレジットされています。収録曲はUS盤と同じです。なお、アルゼンチンでは86年にUK盤と同じジャケット、同じ曲目で再発されています。
次はブラジル盤です。フロント・カヴァーはUK盤と同じ写真ですが白黒のコピーのような感じです。左上にLONDONのロゴ、右上に規格番号があります。ジャケットの作りは厚紙をビニールで挟んだだけのブラジル独自のジャケットです。規格番号はLLN 7118で当初はモノラルだけの発売でした。
リア・カヴァーです。ブラジル独自のデザインです。曲目はUK盤から「Going Home」「Out Of Time」「I Am Waiting」を外したブラジル独自の変則的なものとなっています。
72年には規格番号LLN 7118Sのステレオ盤が発売されました。こちらでは初回盤で外された3曲が復活しUK盤と同じ曲目、曲順となっています。左上のLONDONロゴの下にステレオを表すESTEREO表記があります。ジャケットもビニールで挟んだものではなく普通の作りです。
リア・カヴァーも変更となっています。グループ名の横にUK盤のラベルのようにMICK,KEITH,CHARLIE,BRIAN AND BILLとメンバーの名前がクレジットされています。
次はウルグアイ盤です。こちらは独自の全く違うデザインです。規格番号はLL-3476でモノラルのみ発売されました。レーベルはLONDON、収録曲はUSと同じです。
リア・カヴァーはタイトルと曲名だけのシンプルなデザインです。英表記の下に現地語でクレジットがあります。
次はメキシコ盤です。ジャケットの写真はUS盤と同じですがタイトル、グループ名の下に曲名があります。右上にPeerlees 1192、右下にLONDONのロゴがあります。規格番号は1192でモノラルです。ステレオは70年代にM/S 1192として追加されています。
リア・カヴァーはメキシコ独自のものでグループ名、タイトル、曲目のシンプルなデザインです。
あと、UK盤と同じデザインですが左上に珍しい表記が入ったイタリア盤です。規格番号はLK-I 4786でモノラルです。ステレオは70年代まで発売されませんでした。リア・カヴァーはUK盤と同じデザインです。
ストライプの部分です。「Goin' Home」についてイタリア語でクレジットがあります。
『AFTERMATH』はUKとUSAで違うジャケット、違う内容ですので現在でもそれぞれのヴァージョンでCDが発売されています。ただアナログ時代は『サタニック』とかと比べるとDiffカヴァーが少ないですね。南米盤は裏側が違う程度で全く違うのは日本、イスラエル、ウルグアイ位でした。このアルバムは曲調もバラエティに富んでいて、またいろいろな楽器が使われています。ストーンズのオリジナル曲が完璧に出来上がってきた時期の名作だと思います!またストーンズ初のリアル・ステレオ盤が作られましたが、私は低音が響いて音が一丸となって飛び出してくるモノラル盤が好きです。今回のMONO BOXでも『AFTERMATH』は一番のおススメです。またドイツ盤で『AFTERMATH & OUT OF TIME』というアルバムがありますが、1曲目が「Mother's Little Helper」ではなく「The Spider And The Fly」に変えられています。このアルバムは今回一緒に紹介しようかと迷いましたがドイツ・クラブ・エディションの時にまとめて紹介します。