ローリング・ストーンズのドイツ盤ジュークボックスEP『THE ROLLING STONES ALBUM PLAY』です。500枚しかプレスされなかったという事でストーンズのオフィシャルのレコードの中でおそらく一番プレス枚数が少ないレコードだと思います。私は91年から探し始め去年初めて見てやっと入手したので25年間も探していたことになります。90年代に作られたカウンターフィットもありますがそれもあまり見たことが無くあっても$30~$50と高く取引されています。オフィシャルなのにレアなアナログ・ブートみたいですね(笑)。6曲収録されたこのEPは1968年8月(一説には68年の終わり)にリリースされました。規格番号はDCD 81 500です。このEPにはエディット・ヴァージョンが2曲も収録されていますが、数の少なさからかそのエディット・ヴァージョンの存在すらあまり知られていません。こちらはそのジュークボックス用のスリーブです。上部に「ALBUM PLAY」とあります。よくこのシングルを紹介する時にこのタイトルが使われるのはここからきていると思います。下部に回転数と、STEREO DISKOTHEQUE SERIES、その下にドイツ・デッカの販売元のTELDECの住所があります。
スリーヴの裏側です。こちらも表側と同じデザインですが上部レコード取り出し口に丸くカットがあります。
ラベルです。DECCAのロゴ(後で触れますがこのロゴがカウンターフィットかを見分けるポイントになります。)と、左側にRoyal SoundとGEMA、その下にDCD 13614とマトリクスの番号があります。右側は規格番号のDCD 81 500と盤面を表すseite 1の表示があります。タイトルはTHE ROLLING STONES ! なので、Album Playというのはジュークボックス用で他のアーティストのレコードも存在するのかも知れません。マトリクスは機械打ちでSte-33-DCD-13614-X/Ste-33-DCD-13615-1 Xです。両面共Manufactured in Germanyの刻印があります。「Paint It Black」はステレオです。「Time Is On My Side」はオルガン・イントロの疑似ステで2分18秒くらいでフェイドアウトしてしまいます。「Have You Seen Your Mother~」は疑似ステです。
B面のラベルです。こちらにこのレコードでしか聞けないエディット・ヴァージョンが2曲収録されています。「Ruby Tuesday」はここでしか聞けないエディット・ヴァージョンで最後の"Goodby ruby tuesday~"を2回繰り返す箇所が1回で終わってしまう2分56秒のヴァージョンです。フェイドアウトではなくちゃんと終わるので最後から2番目のコーラスをカットしたことになります。録音はステレオです。 「Mothers Little Helper」はモノラルです。「Under The Boardwalk」もここでしか聞けないエディット・ヴァージョンで2コーラス目のサビの部分から間奏の途中までカットされ終わり方もフェイド・アウトしてしまいます。タイムは2分12秒で擬似ステです。このエディットはホフマン氏も見落としているのか昨年の暮れに出たホフマン氏の「Recording Index 1961-2016」 にも載っていません。「Ruby Tuesday」の方は載っています。
カウンターフィットのラベルです。本物そっくりに作られていますが盤の溝が違います。マトリクスは手書きでDCD 13614 A/DCD 13614 Bです。B面にもA面のマトの番号が使われています。
本物かを確かめるのはマトリクスを見るのが一番ですが見れる状況にない時にはDECCAのロゴが見分けるポイントになります。ドイツ・デッカのロゴは71年頃にロゴの枠の中に白い枠がありDECCAの文字が大きめのものに変りますが、それ以前の68年から71年までは全体に黒っぽいロゴでDECCAの文字も小さめでした。本物の方は68年のリリースですのでDECCAの文字が小さめの方です。拡大して比べてみました。こちらは本物の方です。
こちらはカウンターフィットの方です。ロゴの外枠の内側が白いです。ラベルを作る時に間違えて71年以降のロゴを貼ってしまったのかロゴの周りにまた白い枠があり不自然なものとなっています。また、こちらをこのレコードのセカンド・プレスとしている資料もありますがドイツ盤のマトは機械打ちなのでそれは間違いだと思います。
カウンターフィットも本物と同じスリーヴに入っていますが、色が薄く、新聞のチラシのようなつるつるの紙質です。また、本物は袋型ですが、カウンターフィットは一枚の紙を折りたたんだものになっています。右が本物、左がカウンターフィットのスリーヴです。
EP盤は普通4曲入りですが、このレコードは6曲も無理やり詰め込んだおかげで早くフェイドアウトしたり、レアなエディット・ヴァージョンが収録されていて貴重なレコードとなっていますね。一説ではこのレコードは当時ジュークボックスを買ってくれた人に無料でプレゼントしたけど、33回転だったので役に立たなかったなんて話があります。そういえばジュークボックスって45回転ですよね!いずれにせよここでしか聞けない貴重なヴァージョンが収録されているし、レコード自体も貴重なものなので見つけた時の感動は忘れられません。ドイツ盤には他にもオムニバスのプロモ盤に「Tell Me」のアメリカ盤のエディットとは違った部分を切ったエディット・ヴァージョンも収録されているそうでオフィシャルでもまだまだ知られてない事がたくさんありそうですね!