ローリング・ストーンズのフランス盤『STICKY FINGERS』です。フランスでは1971年4月23日に発売され、規格番号はCOC 59100です。WEA時代のローリング・ストーンズ・レコードのフランスでの配給元はFILIPACCHI MUSICという会社です。このフランス盤のCOC 59100規格のオリジナル盤にはジャケット、ラベル共にいろいろなヴァリエーションがあるので順を追って紹介します。WEA時代のフランス盤は各アルバム2種類のラベルが存在しますが、『STICKY FINGERS』だけは今のところ4種類発見しました。最初はジャケットからいきます。ジャケット表側のタイトル、グループ名はUK盤などのヨーロッパ諸国と同じです。また、レコードの取り出し口は上となります。
ジッパーの部分です。PIDEXの刻印があります。
裏ジャケです。下部中央にWEAと書かれているのが特徴です。後で触れますがこれがないジャケットも存在します。
右下にベロマークがあります。この位置にベロマークはUK盤などと同じですね!
フランス盤のジャケットは大まかに分けると2タイプあります。これは裏ジャケの右上の部分です。ジャケットの他の部分と照らし合わせるため番号を振っておきます。①Bのマークがあるタイプで、下部にWEAのロゴがありません。このジャケットが初版と言われています。②Yのマークがあるタイプで下部にWEAのロゴがあります。すぐにこのタイプに変わったようで一番見かけるジャケットです。③これはおそらくYのジャケットにシールが貼ってあるタイプです。下部にWEAのロゴがあります。フランス近隣の国に輸出していたのか分かりませんがこのシールの意味は不明です。①~③は全て同じ形のジッパーです。
下部中央の部分です。①上は初版でこの部分にクレジットはありません。②③WEAの下に配給元のfilipacchi musicのクレジットがあります。
左下の部分です。①WEAのロゴが無いジャケットでIMPRIME EN FRANCEと書かれています。この部分でフランス盤と分かります。②③下部にWEAのロゴがあるジャケットです。
シートです。基本的には各国盤と同じですが他の国より一回り小さいのが特徴です。右がフランス盤のシートで、左のUK盤のシートと比べると大きさがよくわかると思います。フランス盤のシートは表面がツルツルしています。
反対側です。こちらも各国盤と同じデザインです。左側はUK盤のシートです。
右上に著作権表示があります。
曲目の部分です。
右下にCOC 59100とImprime en France(フランスで印刷)とあります。
ラベルです。最初にも書きましたが4種類あります。大まかに分けてUK盤風のラベルとUSA盤風のラベルの2種類でそれぞれに細かな違いがあります。資料によるとマトリクスがUK盤と同じCOC59100~のものが初回盤で、フランス独自のKFM 59100~がセカンドプレスと言われています。最初はUK盤と同じマトのラベルからいきます!UK盤風のラベルです。左側にB.I.E.Mがあります。これはビームと読みフランスの録音権協会国際事務局の事です。B.I.E.M.があるのはこのラベルだけで次のラベルからはSACEM(フランスの著作権団体)となりますが、このB.I.E.M.があるのが初版と言う説があります。右側にSIDE 1と規格番号、回転数があります。曲目は左揃いです。マトリクスは機械打ちでCOC-59100-A3/COC-59100-B4です。両面に手書きでROLLING STONES RECORDSとあります。ジャケットは①です。ラベルにB.I.E.M.があり、マトはUK盤と同じCOCで始まるマトから考えてこのラベルが初版と断定出来ます。
B面のラベルです。B面はSIDE 2などのクレジットが中心より左側にあります。
上と同様UK盤風のラベルです。左側にSACEMとありますが、これはフランスの著作権団体の事です。これ以降のラベルには全てSACEMのロゴがあります。右側に面表記と規格番号、回転数があります。上のラベルと違い面表記はSIDE Aです。曲目は左揃いです。一番下にA Promotone N.V. Recordsとローリング・ストーンズ・レコードを表す登録票所が追加されています。マトリクスは手書きでKFM 59100 A/KFM 59100 Bとフランス独自のものとなっています。ROLLING STONES RECORDSの刻印はありません。文字の配置が上とほぼ同じでB.I.E.M.からSACEMに変わった位なのでおそらくこのラベルが2番目と思われます。このレコードだけUK盤のジャケットに入っていました。元の持ち主が入れ替えたのか、一部のジャケットをイギリスから輸入していたのかは不明です。
B面のラベルです。
USA盤風のラベルです。左側に規格番号と面表記があります。面表記はFace Aです。右側にSACEMと回転数があります。曲目は左揃いでここでは1曲毎に作者クレジットがあります。「You Gotta Move」の作者のところは(Traditional Arr.-Jagger-Richard)となっています。マトリクスは上と同じく手書きでKFM 59100 A/KFM 59100 Bです。ジャケットは②の裏ジャケにWEAのロゴがある方です。
B面のラベルです。
上のラベルと同じUSA盤風のラベルですが、文字の配置が違います。下部にあったプロデューサー・クレジットが左側にあります。その下に規格番号と面表記があります。上のラベルで左側にあったマトリクスは右側へ移動して、その下にSACEMと回転数があります。曲目は中央揃いになっているのでこれまでのラベルと大分印象が違います。マトリクスは手書きで59100 A/59100 Bと今までのマトより簡素化されているのでこのラベルがWEA時代の最終プレスなのかも知れません。ジャケットは③の裏側にステッカーが貼られているものです。
B面のラベルです。
フランスでは78年に配給元がPATHE' MARCONI-EMI(以下EMI)に変わり、過去のカタログが79年(80年説も)に再発されました。『STICKY FINGERS』も80年には再発されましたが他のタイトルよりも少し遅く再発されたようです。規格番号は2C 070-63152です。このEMI盤も本物のジッパーが付けられています。表側は同じですのでここでは省略して裏ジャケです。裏ジャケ左上に規格番号の2C 070 63152があります。
右上にも規格番号とカセットでも発売されているという記述があります。
右下にベロのマークとPATHE MARCONIとEMIのロゴがあります。
下部中央にImprime en France(フランスで印刷)のクレジットがあります。
シートです。こちらは写真側です。WEA盤は一回り小さいサイズでしたが、EMI盤は各国盤同様LP大の大きさです。また、WEA盤は表面がツルツルした紙質でしたがこちらは各国盤同様普通の紙質です。
上の写真では分かりずらいですが、写真の周りに黒い枠があります。この枠があるのはフランスEMI盤だけです。
反対側です。こちらも他国同様曲目とメンバーの担当楽器のクレジットがあります。
右下に規格番号とImprime en Franceがあります。
ラベルです。EMI盤はUK盤風のラベルとなっています。中央より上にSIDE 1とベロマーク、STEREO、回転数があります。その下に規格番号とマトがありますが色が薄くこの部分だけ後でタイプで打ったような印刷となっています。WEA盤は1曲1行となっていましたがEMI盤は曲目は詰めて書かれており、作者は下にまとめてクレジットされています。右下にSACEMのロゴがあります。マトリクスは機械打ちで63 152 A 21 M6 329429 1/63 152 B 21 M6 329430 1です。
B面のラベルです。ラベルの中の文字が混雑しているせいかA面では右下にあったSACEMのロゴが左側へ移動しています。
フランスではレコードが制作されていたのはWEAとEMIのみでこの後のCBSやVirginからの再発はありません。フランス盤はUK盤と同じ音圧、音質でいい音が聞けます。WEA時代は同じフランス盤でもラベルがUK盤タイプとUSA盤タイプの両方があるのが特徴です。ラベルの順番は初版と言われているものはジャケ、ラベル、マト共に一致しているので、ここで挙げた1番目から4番目までのラベルの順番でいいと思います。また、シートもWEA時代は一回り小さなものなので細かい点から見てもフランス独自というのが窺えて面白いですよね。今回はそれぞれのラベルの生産(発売)時期には触れませんが何か分かりましたら追記します。