前回に引き続きローリング・ストーンズのレコードのミスプリントを紹介します。今回からヨーロッパ諸国へ行きます。まずは旧西ドイツ(以下ドイツ)です。最初は65年8月に発売されたシングル「Satisfaction」です。ドイツでは発売時期によってファーストLPの写真を使ったピクチャースリーヴや、EPの『GOT LIVE~』の写真を使ったピクチャースリーヴなどいろいろありますが、これはファーストLPの写真を使ったピクチャースリーヴの赤い方のエラージャケットです。赤やその他の色が抜けてしまっています。白黒コピーしたのではありませんよ!ジャケットは正規のもの同様にちゃんと袋型に作られています。
通常のジャケットと並べてみました。Satisfactionの文字の部分はうっすらと見えます。また、このシングルはB面の「The Under Assistant West Coast Promotion Man」のタイトルを「The Under Assistant」と省略してあります。ラベルではフルでタイトルが書かれています。
64年11月に発売されたドイツ盤EP『Five By Five』です。これは5曲を5人で演奏しているといった意味合いで付けられたタイトルで、UK盤は5曲入っていますが、その他のヨーロッパ諸国では4曲しか入っておらずタイトルは『Volume 2』と変更されています。このドイツ盤も4曲しか入っていませんがタイトルが『Five By Five』のままとなっています。そして苦し紛れにグループ名の下にFIVE STONES - FIVE HEARTSと練っています。これでも間違えではないんですがこれって面白いですよね!
ドイツ・シングル盤「It' All Over Now」は時期によって4種類のジャケットがありますが、これは67年以降のジャケットで、スペルが「I'ts All Over Now」とIt'sのところをI'tsとミスっています。
I'tsとミスっている方はすぐに回収されたようで全く見かけません。修正されたジャケットと並べてみるとよく分かると思います。
67年4月に発売されたドイツ盤『BETWEEN THE BUTTONS』です。UK盤の『FIVE BY FIVE』と同じようにミックのクレジットがMike Jaggerとなっています。
ラベルです。下部の作者のクレジットがMike Jagger-Keith Richardとなっています。
ミスっている部分です。ドイツでは何度かラベルが変わっていますが、75年までMike Jaggerのままで発売されていました。
77年10月に発売された編集盤『DIE 30 GROSSTEN HITS』です。これはジャケットとラベルの両方で「Honky Tonk Women」が「Woman」と間違えています。また、「Gimme Shelter」は「Gimmie」表記になっています。
ジャケットの曲目の部分です。「Honky Tonk Woman」と「Gimmie Shelter」となっています。
ラベルも同様に間違えています。
71年4月に発売されたドイツ盤『STICKY FINGERS』です。このレコードの一部のラベルに曲目の頭に付ける数字が間違っています。
5曲目の「You Gotta Move」が4 You Gotta Moveとなっています。
こちらは5 You Gotta Moveと修正されたラベルです。
次はフランスです。64年4月に発売された4曲入りEP「Not Fade Away」です。このEPは「Stoned」のタイトルがジャケ、レコード共に「Stones」とミスっています。
タイトルの部分です。
裏ジャケの曲目の部分です。こちらは初期型の裏側です。
70年代の後期型の裏側です。この時期になってもStonesのままで修正されませんでした。
ラベルです。フランス盤は時期によってラベル違いがありますが70年代のラベルまで全部「Stones」となっています。まるで「Stoned」という曲は無かったかのような扱いですね!
65年8月20日に発売されたフランス盤4曲入りEP「Satisfaction」です。こちらは裏ジャケにある曲目の順番が間違っています。さらにラベルでは「Grown Up Wrong」を「Crown Up Wrong」とミスっています。
初回盤の裏ジャケの曲目の部分です。AB面の2曲目のタイトルが入れ替わっています。実際はA面に「Susie Q」、B面に「Grown Up Wrong」です。
再発盤の裏ジャケの曲目の部分です。こちらも上と同じくAB面の2曲目が実際とは入れ替わってますが、再発盤でも修正されませんでした。
ラベルです。実際には「Satisfaction」の次に「Susie Q」が収録されています。
B面のラベルです。こちら2曲目に「Grown Up Wrong」が収録されています。しかも、タイトルが「Crown Up Wrong」とミスっています。
次はベルギー盤です。64年9月に発売された4曲入りEP『If You Need Me』です。UK盤の『5X5』から1曲を除いた4曲仕様となっています。
裏ジャケです。B面が「Around And Around」「Confessin' The Blues」の順になっていますが、実際は曲順が逆となっています。
曲目の部分です。
ラベルです。こちらは曲順が正確です。スペルミスではありませんがヨーロッパではこういう曲順の間違いが多い気がします。
66年2月に発売されたベルギー盤4曲入りEP『19th Nervous Breakdown』です。これは「Surprise, Surprise」が「Surpise, Surprise」と最初のスペルのrが抜けています。
ミスっている部分です。最初のSurpriseがSurpiseとなっています。これは後年まで修正されませんでした。
70年10月に発売されたベルギー盤ミックのソロ・シングル「Memo From Turner」です。UK盤同様このシングルもB面の「Natural Magic」がMick Jagger名義となっています。
ラベルです。本来ならInstrumentalとなるところ、このベルギー盤はUK盤のように修正されず最後までこのままでした。
73年に発売されたベルギー盤の「Sad Day」です。裏ジャケのB面のタイトルが間違っています。
裏ジャケの「You Can't Always get What you Want」が「You Can t Allways Get What You Want」とCan tのアポストロフィが無く、AlwaysがAllwaysとなっています。こちらのジャケットはすぐに回収されたため殆ど出回っていません。
こちらは修正後のジャケットです。
修正前と修正後を並べてみました。
78年5月に発売されたベルギー盤「Miss You」です。ラベルで「I Miss You」となっています。
ラベルです。「Miss You」が「I Miss You」となっている国は他にもありますね。当時日本でも『SOME GIRLS』が発売される前に音楽専科という雑誌でストーンズのニュー・アルバムとして全曲紹介した記事がありましたがそこでも「I Miss You」となっていた記憶があります。またその記事では「Everythng's Turning To Gold」を加えた11曲仕様となっていました。曲の内容まで紹介されていたのでもしかしたら最初に届いたインフォでは「I Miss You」だったのかも知れませんね。話がずれました今その雑誌は処分してしまい私の記憶だけの情報ですので本を残しておけばよかったと思います。
68年4月に発売されたベルギー盤『FLOWERS』です。ベルギー独自のジャケットで有名ですよね!
B面6曲目の「Sittin' On A Fence」が「Sittin' On The Fence」となっています。
ラベルです。こちらも「Sittin' On The Fence」となっています。このアルバムは年代によっていろいろなラベルがありますが全てのラベルでTheとなっています。
「Sittin’ On The Fence」となっている部分です。
69年11月に発売されたベルギー盤『GOT LIVE IF YOU WANT IT』です。これは以前紹介しましたが「Fortune Teller」のタイトルが「Fortune Letter」と占い師が占いの手紙になっています。これはミスプリント大賞ですよね!
ラベルです。これはオリジナルのラベルですが、セカンド・ラベルも同様に間違っており最後まで修正されませんでした。
「Fortune Letter」とミスっている部分です。
次はフィンランド盤「Street Fighting Man」です。StreetがSreetとなっています。この部分は最後まで修正されませんでした。
スウェーデン盤「Stisfaction」です。B面が「The Spider And The Fly」と印刷してしまい黒塗りでその上に「The Under Assistant」と修正されています。B面が「The Spider And The Fly」はイギリス国内だけだったので、何らかの手違いで印刷されてしまったと思います。この黒塗りが無い修正前のジャケットは今のところ資料などでも全く見た事がありません。
黒塗りの部分です。下にうっすらと「The Spider And The Fly」の活字が見えます。
こちらは修正後のジャケットです。しかしB面のタイトルは長いせいか「The Under Assistant」と省略されたままとなっています。
ラベルです。ジャケット同様こちらも「The under Assistant」と省略されたままです。こちらはフルで書かれたものはなく、後年までこのままでした。
スペルミスでは何といっても「It's All Over Now」のIt'sがI'tsと間違っているのが珍しいですね!そしてベルギー盤の「Fortune Teller」が「Fortune Letter」となっていて全く違う意味になっていたり、「Stoned=Stones」のように最後まで修正されなかったりと結構ヨーロッパ各国でもいろいろな間違いがあって面白いですね。次回はヨーロッパ各国の続編でイタリア、スペインなどのレコードを紹介します。