ローリング・ストーンズのニュージーランド盤『STICKY FINGERS』です。ニュージーランドでは1971年4月に発売され、規格番号はCOC 50100です。配給元は他国同様WEAです。ジャケットは当初本物のジッパーが付いたUK盤のジャケットを使用していたようでが、71年10月頃から自国でジャケットを作るようになったようです。ニュージーランドでの初回盤はシングル・ジャケで、他国のような中にブリーフ姿があるものではなくただの普通の横からレコードを取り出すジャケットとなっています。セカンドプレスからはナント見開きになっており、見開きの内側からレコードを取り出すようになっています。グループ名とタイトルの表記はUK盤と同じで、ジッパーは最初から最後まで印刷です。背はUK盤のように上下絞ってあります。
ジッパーの部分です。印刷なのが惜しいですよね。ニュージーランドでは再発のEMI盤も含めて全て印刷となっています。
裏ジャケです。右上にベロマークがあり、その中に曲目があります。
曲目の部分です。
ニュージーランド盤は同じ規格番号で裏ジャケの細かい違いが3種類あります。右上の部分です。上がオリジナルのシングル・ジャケです。2番目はこの部分は同じですが見開きでこの次に触れる謎のジャケットのものです。3番目のものは見開きのジャケットですが規格番号がありません。
下部中央の部分です。上が初回盤のシングル・ジャケのものでWEA Records Limitedのクレジットがあります。真ん中のジャケはSTEREOの横に著作権表記がありますがなんとCOC 59100なのに配給元がEMIとなっています。80年にニュージーランドではEMIからCUN 59100の再発盤が出ていますが、この『STICKY FINGERS』だけ73年に一時的に配給元が変わったのか印刷ミスなのか分かりませんが謎のジャケットです。73年といえば『GOATS HEAD SOUP』が発売されてますがこちらはちゃんとWEAとなっています。3枚目はEMIのクレジットがあるジャケと全く同じ見開きですが何も書かれていません。2番目のEMIとあるジャケットだけ表裏コーティングされています。
右下の部分です。この部分は3種類とも同じです。
上の裏ジャケの2番目と3番目が見開きジャケとなっています。見開きの内側です。ジッパーが印刷なので、一部のUK盤に見られる見開きとは違いジッパーの裏側が無く白だけになっています。右側は上下フリップバック仕様となっています。
レコードは見開きの内側から取り出すようになっています。
各国盤に付いていたインナーは入っていません。ニュージーランド盤を何枚も確認しましたが全部に入っていないので不思議でしたが、Discogsでも一切インナーの写真が載っていないのでどうやらニュージーランド盤は元々インナーは付いていなかったようです。ラベルです。このラベルは初回盤といわれているシングル・ジャケに入っていたものです。上部にSTEREOとグループ名があります。左側にマト、右側に大きく面表記と規格番号があります。曲目は左揃いでタイトル、作者、タイム表記の順に書かれています。下部にプロデューサーのジミー・ミラーのクレジットとその下にMarketed By WEA Records Limitedとあります。マトリクスは手書きでCOC 59100 A/COC 59100 Bです。
B面のラベルです。
セカンドプレスと言われている見開きのジャケットに入っていたレコードのラベルです。上のラベルの下部にあったMarketed by WEA Records Limitedのクレジットが無いラベルです。リムも違いこちらはニュージーランドでデッカやグラモフォン系のレコードを販売していたHis Master's Voiceのクレジットがあります。アトランティックのクレジットも書かれているのでこの販売権も持っていたんでしょうか?このレコードは2番目のEMIのクレジットのあるジャケットに入っていたので謎は深まるばかりです。マトリクスは上と同じ手書きでCOC 59100 A/COC 59100 Bです。3番目の裏ジャケに何もクレジットがないジャケットもこのラベルです。
B面のラベルです。
ここからは配給元がEMIに変わってからの再発盤です。EMI盤の『STICKY FINGERS』は80年に発売され、規格番号はCUN 59100です。ジャケットの表側はWEA盤と全く同じなのでここでは省略します。ジッパーも印刷で形も全く同じです。裏ジャケです。WEA盤同様ベロマークに曲目が書かれています。右下のベロマークとROOLING STONES RECORDSのクレジットがあります。
右上の部分です。規格番号のCUN 59100とプライスコードがあります。
左下の部分です。EMIのロゴとニュージーランドのEMIの住所が書かれています。その下にⓅ1980があります。よく見るとEMIのロゴの中にニュージーランドの地図が書かれています。
インナーはWEA盤同様付いていません。ラベルです。WEA盤のラベルと似ていますが、ベロマークが左側から右上に移動しています。左側にマト、右側に大きく面表記と規格番号のCUN 59100があります。曲目の部分はWEA盤と同じです。そして謎なのが一番下にMarketed By WEA Records Limitedとある事です。これはWEA盤のラベルの版下をそのまま使ったのか、この部分だけ間違えて残してしまったのか不明ですが、何だか適当ですよね!マトリクスは手書きでCUN 59100 A/CUN 59100です。WEA盤のマトのCOCの部分を無理やり上から書き直しているものです。
B面のラベルです。
ニュージーランド盤の音はUK盤と比べるとやや音圧が低く、高音の伸びが無いような気がします。また、ジャケットやラベルを見るとWEA盤なのにジャケットにEMIとあったり、EMI盤なのにラベルにWEAのクレジットが残っていたりとミスプリントなのか分かりませんが謎の多いのが特徴です。そして各国盤に付けられていたインナーが付いていなかったというのも不思議です。そしてなんといっても見開きでレコードを見開きの内側から取り出すようになっているのがニュージーランド盤の最大の特徴です。この造りはニュージーランドだけなので同じタイトルでも国によってジャケットの作りが違い面白いですね。