ローリング・ストーンズの日本盤「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ/ゴッタ・ゲット・アウェイ」です。1966年(昭和41年)2月20日に発売され、規格番号はTOP-1013です。このシングルから規格番号が今までのHIT規格からTOP規格に変わりました。最初にタイトルを「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」と書きましたが、当初は「涙あふれて」という邦題は使われていなかったんですね!インナーやラベルでも「涙あふれて」の文字は一切見当たりません。このシングルはアメリカと同じカップリングで、イギリスではこの曲は「19th Nervous Breakdown」のB面として発売されました。元々は64年にマリアンヌ・フェイスフルに提供したフォーク調の曲で作者にジャガー・リチャーズの他にアンドリュー・ルーグ・オールダムも名を連ねています。ジャケットは日本独自のものでメンバーの写真が使われています。このシングルもラベル違いがあります。当時の値段は370円でした。
裏ジャケです。こちらは最初に発売された値段が370円のものです。広告には3ヶ月前に出た「一人ぼっちの世界」が載っています。
値段が400円に変更されたジャケットです。他のシングルは値段の変更と共に広告のレコードも最新のものに変更となっていましたが、このシングルは広告の変更はなく値段の部分だけ印刷し直しただけとなっています。
見開きの内側です。朝妻一郎さんのライナーと歌詞が載っています。ライナーは、この曲はミックのソロといった内容となっておりミックの生い立ちや、身長等が中心に書かれています。あと、文の最後に「この2曲は彼らの最新アルバム『DECEMBER'S CHILDREN』(日本ではローリング・ストーンズ第5集)に収録されています。」とあります。日本での第5集は『アフターマス』なのですがこの時点では『DECEMBER'S CHILDRN』が発売されているように書かれているのには驚きです。結局第5集はアフターマスになり、『DECEMBER'S CHILDREN』の日本盤が出たのは80年代に入ってからですね!このことについては『ゴールデン・アルバム』の時に詳しく説明します。
インナーは青がオリジナルです。66年なので初期のピンクのものはこの時点で生産を終えています。
ラベルです。初回のLONDONのロゴの上にffrrの耳のマークがあるタイプです。ラベルでもタイトルは「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」となっていて「涙あふれて」の文字はありません。マトリクスは機械打ちでDSt 1266-4/DSt 1267-2です。両面にJISマークがあります。
B面のラベルです。
ffrrのマークがなくなったセカンド・プレスです。LONDONのロゴの左下に上のラベルにはなかったMADE IN JAPANがあります。回転数の表示が右側へ移動し、その他のクレジットも変更となっています。マトリクスは機械打ちでDSt 1266-8/DSt 1267-10です。両面にJISマークがあります。
B面のラベルです。
邦題ですがLP初収録の『ゴールデン・アルバム』でも「涙あふれて」は使われておらず、日本で最初に「涙あふれて」という邦題が登場したのは67年8月に発売された日本独自の編集盤『YOUR POLL WINNERS』で「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ(涙あふれて)」という表記になっています。それ以降は全て「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ(涙あふれて)」として使われていましたが、CD時代になってからは「涙あふれて」の邦題はなくなってしまいました。70年代にストーンズを聞き始めてからずっと日本盤は「涙あふれて」しかなかったような気がしていましたが人の記憶って曖昧なんですね!A面はメロディーが美しいジャガー・リチャード作品の初期の曲で、ストーンズからはミックのヴォーカルとキースのギターだけで他の3人は参加していません。マリアンヌ・フェイスフルのヴァージョンは64年に発売されているのでセルフ・カヴァーという事になり、作品を作った時期を考えるとよく言われているビートルズの「イエスタデイ」(65年)の模倣には当てはまらないと思います。B面はミディアムテンポのリフの繰り返しで、いかにも当時のストーンズが作りそうなメロディーの曲です。「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」はいかにも日本人が好みそうなメロディーで当時の日本では人気があったレコードだと思います。