ローリング・ストーンズのブラジル盤『BEGGARS BANQUET』です。ブラジルでのロンドン・レコードの配給元はオデオンです。最初はモノラル盤のみ1969年初頭に発売され、規格番号はLLX-7140です。ステレオは72年に発売され、規格番号はLLX-7140-Sです。ブラジル盤の特徴は何といってもジャケットのタイトル部分が『O BANQUETE DOS MENDIGOS』とポルトガル語で書かれていることです。『BEGGARS BANQUET』のディフ・カヴァーってあまりないですがこれは珍しいですよね!ジャケットは表裏コーティングされたような艶があり、各国盤同様見開きとなっています。
グループ名とタイトルの部分です。これだけでもだいぶ雰囲気が違うものですね。
裏ジャケです。こちらは一見すると各国盤と同じように見えますが、コンポーザーやエンジニアなどのクレジットはポルトガル語になっています。
中央のクレジットは5行で、作者は全曲ジャガー、リチャードになっています。その下にロンドンのロゴと規格番号のLLX 7140があります。
ロンドンのロゴと規格番号の部分です。
裏ジャケ下部の部分です。INDUSTRIAS ELETRICAS E MUSICAIS FABRICA ODEON S.A.と書かれています。
その右下に小さくブラジルでの配給元のオデオンの住所があります。
ステレオ盤のジャケットです。ナント、モノラルのジャケの右上にステレオを表すステッカーが貼ってあるだけで、規格番号はモノラルの番号のままでステレオ専用のジャケは作られませんでした。これはオデオンでの生産が終わる70年代の終わりまでこの仕様でした!モノラルは多分早くに生産を終えたと思いますがこうしてジャケットだけモノラル仕様だったとは驚きですね!
右上のステッカーの部分です。
一部のジャケでは見開きの内側にステレオのステッカーが貼られています。このジャケは表側には貼ってないので、これじゃ外から見てステレオなのかモノラルなのか分かりませんよね!中はステレオ盤が入っていました。
見開きの内側です。これは各国盤と同じです。
見開き右ページの右下にジャケットのデザイナーとフォトグラファーのクレジットがあります。
インナーです。ブラジル・ロンドンのステレオ専用のインナーです。ステレオを表すクレジットがあります。裏側は何も印刷されていません。
下部にODEONのクレジットとINDUSTRIA BRASILEIRA(ブラジルの産業)とあります。
ラベルです。69年に発売されたモノラル盤のラベルです。この手裏剣のようなデザインのラベルはブラジルで67年~72年頃まで使われていました。上部にマトと、タイトル、グループ名があります。左側にロンドンのロゴがあります。右側にMONO、面表記、パブリッシャーがあります。面表記はLADO 1/LADO 2です。曲目は手裏剣のような模様に沿って斜めに書かれています。一番下にプロモと規格番号のLLX-7140があります。マトリクスは機械打ちでARL-8476-A/ARL-8477です。
B面のラベルです。「Prodigal Son」の作者はジャガー・リチャードになっています。
72年に発売されたステレオのラベルです。ステレオ盤の発売時期を考えるとこのラベルでの生産期間は短く、おそらくすぐに次のラベルに変わったと思います。そのせいかこのラベルはあまり見かけません。文字の配置は上のモノラル盤と同じですが、一番上のマトがZAL 8476に、右側STEREOの文字があります。一番下の規格番号もLLX-7140-Sとステレオの番号になっています。マトリクスは機械打ちでZAL-8476/ZAL-8477-Bです。
B面のラベルです。ステレオ盤も「Prodigal Son」の作者はジャガー・リチャードになっています。
70年代前半の再発ステレオ盤のラベルです。ゴールド・ロンドンと呼ばれています。左下に丸い青のものがありますが、これはシールのように見えますが印刷です。他のタイトルも同じようになっていますがこれは一体何を表しているのか分かりません。文字の配置は上の手裏剣のようなようなラベルと同じです。マトリクスは機械打ちでZAL-8476-R/ZAL-8477-Cです。
B面のラベルです。この時代になっても「Prodigal Son」の作者はジャガー・リチャードのままです。
ここからは配給元がポリグラムに変わった81年に再発されたレコードです。規格番号は30 036です。ジャケットの表側はオデオン盤と全く同じでポルトガル語で書かれているものなのでここでは省略します。見開きの内側も全く同じです。裏ジャケです。ロンドンのロゴの下のクレジットが変更となっています。
ロンドンのロゴの下の部分です。ブラジルのポリグラムの住所などが書かれています。
ラベルです。それまでのラベルではタイトルがポルトガル語で書かれていましたが、このポリグラム盤は「THE BEGGARS' BANQUET」と英語表記になっています。タイトルの頭にTHEが付いており、BEGGARS'の最後に引用符が付けられています。左側に回転数が、右側に規格番号があります。曲目は中御揃いです。各曲のタイトルの後に8桁の数字が書かれていますが何を表しているのか分かりません。一番下にプロデューサー・クレジットとパブリッシャー、A面のトータルの時間が書かれています。マトリクスは手書きで30036 1 01 Ⓟ1981 200/30036 2 01 Ⓟ1981 200です。
B面のラベルです。ここでも「Prodigal Son」はジャガー・リチャードとなっています。ついに最終プレスまでこのクレジットは修正されませんでした。
ブラジル盤は音がいいですがモノラルの「Sympathy For The Devil」はピアノがややオフ気味になっています。『ベガバン』のジャケ違いは見開きの内側がそのまま表側のジャケットになっているチリ盤がありますが、このように表側に現地語でタイトルが書かれているのはこのブラジル盤の他にスペイン語で書かれたアルゼンチン盤があります。もし日本盤が『乞食たちの晩餐会』と日本語で書かれていたら嫌ですよね(笑)。次回はスペイン語で書かれているアルゼンチン盤を紹介します。