ローリング・ストーンズのUSA盤プロモ12インチ『Hot Stuff/Crazy Mama』です。76年4月（？）に作られ、規格番号はDSKO 70です。このレコードはいろいろな資料でストーンズ・レーベルの12インチ盤を模したカウンターフィット（ブート）とされていますが今回は細部をいろいろと検証してみようと思います。アルバム『BLACK AND BLUE』に因んで主に出回っているのは青と黒のカラー・ヴァイナルとなっています。レコードの色はその他いろいろあり、青のみ、透明、緑、オレンジ、ピンク、紫、赤、黄色、黒などを確認しています。ジャケットはプレーンの穴あき12インチ用のスリーヴにベロマークの印が押してあります。
ベロマークです。
ラベルです。このレコードにはPR（ニュージャージー州のPresswell Records製）のテストプレスが存在します。B面にも同じラベルが貼られています。ふつうはここに手書きでグループ名やタイトルが書かれているんですが、何も書かれていません。このPR製のテストプレスは同時期では『BLACK AND BLUE』が存在しますが、レコードの溝が全く同じなのでこのテスト・プレスもPRでプレスされた可能性が高いと思います。マトリクスは手書きでST-DSKO-31990/ST-DSKO-31997です。両面にSTERLINGの刻印と手書きでPresswell Recordsを表すPRがあります。これはレギュラー盤も全く同じマトです。
テストプレスのマトです。これはA面でST-DSKO-31990となっています。
B面のマトです。ST-DSKO-31997となっています。
両面にPresswell Recordsを表すPRとSTERLINGの刻印があります。
レギュラー盤のラベルです。ローリング・ストーンズ・レコーズの黄色いラベルです。一番上にグループ名、DSKO 70、タイトルの「HOT STUFF」があります。アルバム同様作者クレジットはキースが先となっています。左側にベロマークとSTEREO、回転数が、右側に5:21とタイム表記があります。一番下にPROMOTIONAL COPY NOT FOR SALEとマトがあります。溝もテストプレスと同じです。マトリクスはテスト盤同様手書きでST-DSKO-31990/ST-DSKO-31997です。両面にSTERLINGの刻印とPRがあります。
B面のラベルです。
レギュラー盤にもテスト盤同様PRとSTERLINGの刻印があります。
このタイトルはいろいろなカラー盤がありますがここでカラー盤の色のパターンを少し挙げてみます。これは典型的な青と黒のカラー盤です。この青と黒のバランスはまちまちで黒の部分が多かったり、青の部分が多かったりします。
これは青を基調として黒がマーブルに混ざっているレコードです。
これは普通の黒いレコードです。このタイトルで黒はあまり見かけないような気がします。
単色で赤のレコードです。単色は一番最初に紹介したようにこの他に青のみ、透明、緑、オレンジ、ピンク、紫、黄色など何色もあります。
このレコードは2曲共アルバムと同じヴァージョンが収録されています。私は80年代にこのレコードを入手しましたが、ちょうど同じ頃「Brown Sugar/Cocksucker Blues」や「Cops And Robbers」のBBCの4曲入りの12インチというストーンズ・レーベルを模したカウンターフィット盤が出回っていたのでこのレコードも同類だと疑っていました。何年か前にatsu-yさんの掲示板"Hot Stuff"でもこのレコードの事が正規盤かブートかと話題になり、私はいろいろな資料にカウンターフィットだと書かれているのでこれはブートだとその時掲示板に投稿しました。しかしマトを見ると他のストーンズ・レコードを模したブート12インチには無いSTERLINGの刻印があるではないですか！ブートでこれがあるのは見た事が無い（多分）のでこれは正規のレコードなのかと思い始めました。そして昨年テスト・プレスを発見。Presswell Recordsのラベルが貼られています。そのレコードのマトも全く同じで、STERLINGの刻印があります。ブートでPresswell Recordsでテスト・プレスが作られていたってことはあり得ないですよね。このテストプレスのラベルは同時期の『BLACK AND BLUE』でも使われていたもので、時期的にも合っています。もし仮にブートだとしたらこのレコード、当時流行りの12インチに当て込んでPresswell Recordsのテストプレス用のレコードまで作り、STERLING、PRの刻印まで入れた手の込んだことをしていますが、もしかしたら本物の可能性もありかも知れませんね！
