ローリング・ストーンズの東ドイツ盤『THE ROLLING STONES』です。旧東ドイツではロックは西側諸国の退廃の象徴として禁止されており、ストーンズのアルバムは78年以降にデッカ時代のベスト2種と、ストーンズ・レーベルのEMI盤が数タイトル出ているだけです。今回はデッカからの編集アルバムを紹介します。タイトルはズバリ、ザ・ローリングストーンズで、内容は「The Last Time」から「JJF」までのシングル曲とアルバム曲で構成されています。ジャケットの表側は76年に再発された西ドイツ盤の『BETWEEN THE BUTTONES』と全く同じデザインです。1978年に発売され、規格番号はSLK 17 100-Pです。レーベルはデッカになっていますが、発売はAWA Intershopという会社です。
右上に『BETWEEN THE BUTTONES』と同じデザインのグループ名があります。
左下にDECCAのロゴがあります。
裏ジャケです。グループ名のロゴと曲目だけのいたってシンプルなデザインです。
右上に規格番号のSLK 17 100-Pがあります。
A面の曲目です。
B面の曲目です。
ラベルです。濃いピンクのラベルで、下に逆三角形の33がある部分は西ドイツ・デッカの赤ラベルと似ています。右側に規格番号とSide 1、STEREOがあります。左側に発売元のAWA Intershopのロゴがあります。マトリクスは機械打ちでSLK 17 100-P-1A/SLK 17 100-P-2Aです。このレコードには白ラベルのプロモ盤もあるそうですが見た事がありません。
B面のラベルです。
このレコードの規格番号のSLK~数字~Pという規格は西ドイツで73年の『NO STONE UNTURNED』(SLK 17 038-P)まで使われていた番号で、私は90年代半ばにこのレコードを初めて見た時は西ドイツの編集盤だと思いました。しかし、ホフマン氏の資料にもこのアルバムはなく、ラベルも西ドイツのものとは違うので編集盤を装ったブートレグだと思っていました。2010年の「WORLDWIDE Ⅲ」を見て、初めてこのレコードは東ドイツ盤だと知りました。先にも書きましたが東ドイツではロックが禁止されていたため、60年代のデッカのオリジナル盤は全く発売されていません。不自由を強いられてきた人々にこの編集盤の発売は演奏も歌詞の内容も衝撃的に映ったと思います。